今年で3回目となった「多摩美術大学日本画科・堀文子教室同窓展」。
年に一度の同窓展だ。
いつもA3くらいの小品を一点出品しているだけなのだが、今回、わざわざ絵描きの大先輩が見に来てくださった。
尊敬する篠崎三朗さんである。
篠崎さんの描かれる絵本や本画はとても美しくて魅力的、加えて人柄が素晴らしい。
たぶん、絵描きにしては珍しく(というと他の人に怒られそうだが)優しくて穏やかで面倒見が良い。
率直で,嘘がない。
篠崎さんの「本当に絵が好きだ!」「好きで好きで仕方ない。だから描かずにはいられない」という真摯な姿に、私はいつも励まされ感動する。
私はこれまで篠崎さんから沢山の、的確なアドバイスを頂いてきた。
ただただ、感謝である。
その篠崎さんに、今回の絵を絶賛して頂いた。
ものすごく良かった、と。
異質で、だから光っていた、と。
この感じで描き続けていきなさい、と。
その褒めっぷりは、こちらが照れて恐縮してしまう程であった。
でも、嬉しい!と素直に思った。
褒められるっていいものだ。
褒められて、人は伸びるのだ。
タモリ氏も言っていた。
未だに褒められたいんだよね〜、と。
だって、気持ちいいでしょ!と。
褒められたくて描くんじゃない。
でも褒められれば素直に嬉しい。
その絵を少し前に描いたものと並べてみると、自分でも呆れるくらいの差があった。
以前の絵の、なんという浅さ、稚拙さよ。
ほんのちょっと前のことであるのに、全く違う人間が描いたかのようだ。
進歩している。
たしかに。
少しずつ。
でもある日急激に。
グン!と。
私はそれを、今までの経験から知っている。
どんなにダメだと思えても、積み重ねていくこと。
決して諦めないこと。
ちなみに、その絵に取り掛かる前に散々失敗して、何枚も破棄して、ムシャクシャして、もうどうしようもなくなって、最後に出て来たのがものがそれだった。
描いている時、とても不思議な感じがした。
自分じゃなくて、何か他のモノに描かされているかのような感覚。
上から、なのか、内から、なのか。
どこかから湧いて来たような感じ。
頭を使って描いていなかったように思う。
ただ、グイグイっと描いていた。
篠崎さんとお話ししていっぱい元気をもらって、私は今日も描いている。
他の人たちも、きっと同じ。
だから、もっともっと描く。
納得いくまで、絵筆は置かない。