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ひねもす のたりのたりかな

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展覧会を廻る

昨日のこと。

神保町での打ち合わせの後、弥生美術館で『小林秀恒展』を見る。
昭和10年代に、岩田専太郎、志村立美とともに「挿絵界の三羽烏」と称されて絶大な人気を博した挿絵画家である。

あまりの巧さに絶句。
昭和初期にはこんなにも巧く、美しい絵を描く人たちが沢山いたのだ。
残念ながら今はもう、このような挿絵画家はいないと思われる。
それは一体、どうしてなのか。
何がどう違うというのだろう。
志か、鍛練の量や質か、そもそもの才能か、その全てか。

彼は34歳で亡くなったそうだ。
なのに、膨大な数の絵を描いているのだ。
舌を巻く。
岩田専太郎と「僕は1日に24枚描いた」「僕は26枚だ」と競い合ったそうだ。
大量に描いて、尚且つ雑になることもない。
あのクオリティの高さ。
毎日35名くらいの編集者が彼の絵を求めて家にやって来たとも言う。

ひぃいいい・・・・!
精進精進、自分に言い聞かせる。

隣接する竹久夢二美術館ものぞく。
可愛らしいがただ可愛らしいだけではない。
甘ったるくない夢二の絵。

そういえば叔父(田代光)の挿絵が載った雑誌も展示されていた。
叔父も異様に巧い人であった。

うむむ。
精進精進。

渋谷で買物をして、駒場東大前の日本民芸館へ。
『特別展 日本の民画−大津絵と泥絵−』を観る。
絵描きの先輩Sさんに勧められて観たのだが、充実したとても良い展覧会だった。
大津絵、泥絵の美しさもさることながら、所蔵品の数々が素晴らしい。
初めて観た三春人形、堤人形、鴻巣人形の素朴な愛らしさ。
ドッシリとした存在感の陶器たち。
アイヌの衣装や首飾り。
(首飾りは力強すぎて、私はその凄まじい気にあてられてクラクラしてしまった…)
そして建物がまた良いのである。
ゆったりと落ち着ける。

実は私が通っていた高校は駒場東大前にあったのだが、この民芸館に足を踏み入れたのは、確か初めてであったと思う。
もっと早くに訪れていれば良かったことであるよ。
勉強不足を反省。

民芸館を堪能して、同じ駒場でやっていた友人の陶芸展を訪ねて2年振りの再会。
彼の作品もまた、彼そのものに素朴て温かだ。
作る物にはその人自身が投影されるものなのだなあ。

下北に寄って、資料用にキリンのフィギアを買う。
Sさんに教えてもらったSchleichというドイツ製の物。
ものすごく精巧な作り。
フィギアを買ったのは初めてだったのだが、侮れないもんだなあ。

晴れたら動物園でスケッチだ。

明日、晴れたらいいな。
by contenta | 2009-03-06 16:38 | 徒然
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